鹿児島県長島町を舞台に、初めて制作された映画『夕陽のあと』(2019)。「長島町にふたたび映画を」という町民の想いから、2作目となる本作が生まれた。監督・脚本は『夕陽のあと』で助監督を務めた近藤有希と水落拓平。 “自称・女優”の城子役は、俳優業だけでなく近年は映画監督としての活動も目覚ましい平岡亜紀。そして城子の幼なじみ由記乃役は、利重剛プロデュースのショートフィルム企画“Life works”以来、近藤監督とは2度目のタッグとなる花島希美が演じている。
2人の監督によって2つの視点で描かれる本作は、たった1つの視点が真実のように受け止められてしまう社会の不確さを映し出していく。
東京から故郷の島、鹿児島県長島町へ突然帰郷した城子。彼女は3年前に長島町を舞台にした映画で主演デビューをするはずが、制作が頓挫し姿をくらましていた過去があった。島には映画制作にお金を出していた人もいて、中には『制作費詐欺事件』として城子を恨んでいる人もいる。 一方、生まれてこの方30年以上島を出たことがない由記乃は、両親と妹と共に実家で暮らしていたが、根無草の城子が突然同居することになり、日常が脅かされる。そして、再び「映画を撮る」と云い始める城子。それをきっかけに、静かな島にいくつもの小さな事件が巻き起こる—。